あしたのジョーファンサイトSOUL OF JOE

アニメ用語について

作画部門

色トレス

キャラクターに影をつける際に、仕上げ作業でトレスマシンを使わずに手作業(ハンドトレス)で色トレス線を引くので、作画する際マシンに反応しないよう色鉛筆でトレスする作業です。

ジョー1&2は共に色トレスが非常に多いので色パカも目立ちます。

色パカ

セル画に色を付け間違える事により、動画にした際に起こる色がパカパカと見える現象です。

私が印象に残っている大胆な色パカはジョー1ではジョー力石戦の観客の服です。
ノーガードの際に文句を言う客の首回りの色パカが衝撃的?な目立ち方をします!
ジョー2では結婚式での西のネクタイです。

絵コンテ

作品全体内容の流れが、シナリオに沿ってコマ割りの絵で描かれているものです。
キャラクターのセリフや効果音などの指示も入っています。
これを元に原画マンは作業します。

出崎監督の特徴と言えば、ハーモニー作画指示、色パラ、スロー、繰り返しPAN・・・。
もうかたる必要のない素晴らしい演出技術です。

エフェクト(エフェクト・アニメーションの略)

自然現象(煙、波、風など)や、爆発などのキャラクター以外の作画のことです。

ジョーには参加しませんでしたが、やはりエフェクトアニメは金田伊功氏が最高です!

演出(演出家/ディレクター)

作品の主な構成や、キャラクターの演技を決め、作品全体をまとめる役割りの人。またはその仕事自体を指します。

出崎演出・・・という言葉まで出たほど後々受け継がれていきました。

影(影線)

人物などにつける影(線)のこと。
通常色鉛筆で作画し、仕上で色トレス(ハンドトレス)されることが多いです。
色線はトレスマシンには反応しません。

ジョーは影線のイロトレスが凄く多い作品です。
そのため手作業であるセル画彩色は色パカが凄く目立つ結果になりました。
今ならデジタルで簡単に塗り直しが聞きます(撮影直前まで)が、昔は簡単には出来ず、泣く泣く撮影にまわした事も多かったと思います。

カット

作品のシーンごとの中で、さらに一連の演技を区切ったもの。
基本的にカット中では場面設定は変わりません。
30分アニメでは大体350前後カットを使用します。

ジョー2ではカット尻にハーモニー処理を施す処理が多用されました。

カットナンバー

作品のカットごとにつけられる通し番号。
カットの並び順に頭から若い番号をつけられます。

カメラワーク

絵そのものではなくカメラや撮影台を操作して、カットに効果をつけることです。
「PAN(パン)」「T.U(トラックアップ)」「T.B(トラックバック)」などがあります。

キャラ表(キャラクター表の略)

作品ごとに用意されている、登場するキャラクターの基本モデルが描かれている表です。
これを元に原画マンは作画します。

口パク

キャラクターが喋る演技の口の動き。
国内のアニメーションでは、「アキ口、中間口、閉じ口」の3種類を交互に入れ替えて喋っているように見せているのがほとんどです。

クミ

組線。
BGの中の物体の向こう側にキャラクターの一部がある場合、作画の必要が無い部分とキャラクターの境目の線の事です。

クリンナップ

原画のラフな線(修正画も含み)をまとめて、きれいな動画の線に写し描く作業です(清書)。
ライトテーブルで原画(修正画)を動画用紙の下に置いて透かし、上からなぞってトレースします。
担当は動画マンになります。

TVジョー1のピーク時には杉野氏も手伝ったと聞きます。
ジョーは動画の線をわざと荒くして迫力を出したりすることが多く見受けられますが、原画を理解しないとなかなか上手くいかない手法ですね・・・。

原画

絵コンテに沿ってレイアウトや動きの元になる絵を描く作業です。
一連の動きの起点と終点になる絵など、ポイントのみを描く作業です。
動きのタイミングや演技、「間」をきめるのも、この部門での作業になります。
作画監督に絵を修正されても各原画マンの動き(タイミング)は残ります。

ジョー2では森本晃司氏の原画はかなり印象的でした。

作画監督

複数名による原画マンの画の統一を図る為に、原画を修正する監督です。
通常、原画マンが描いた白い動画用紙の上に黄色い動画用紙(他の色もアリ)を乗せて、修正部分があれば描き加える作業を全カットに渡りします。
原画マンが始めに提示するレイアウト画(等身合わせ)に重点をおいて修正すると後の原画修正が楽になったりします(作画監督の方針による)。

ジョー1は杉野、荒木、金山氏の3名が作画監督でしたが、ジョー2は杉野氏が47話全て監修してます。
・・・劇場と同時進行時期にはチェックが弱くなったのが残念でした。

サブタイトル

作品の話数ごとに設定された副題のことです。

ジョー1は”帰えって”とえが入っていたのが妙に印象的でした。
ジョー2は”・・・”がポイントでした。

シーン

一連の場面のつながった、複数のカットの集まりです。
1カットで1シーンになる場合もあります。

セル重ね(セルレベル)

セル(動画)の重ねの順番。
アルファベット順で、通常一番下にくるのがA。
セル画は重ねすぎると影が出来たり、色が違って見えたりするのがネックです。
空セルを重ねて抑える方法もあります。
最近ではデジタル処理なので何枚重ね(レイヤー)があっても色の変化等は全くありません。

タイムシート

撮影シートとも呼ばれます。
動きのタイミングをコマ数で示す表です。
通常1秒につき24コマの設定になっています(デジタルは30)。
原画のタイミング 、撮影のための動画タイミング、仕上への申し送り、撮影私事等 、統べての情報がこの紙に集約されます。

ジョー2ではTVと劇場で同じシーンでもタイムシートの打ち直しがされており、微妙にタイミングが違ったりしています。

タップ

作画や撮影時に動画用紙を固定する道具です。
金属製の細長い板に3つの突起がついていて、それを動画用紙の穴にはめて固定します。

タップ割り

動画用紙のタップ穴を使った中割りの手法です。
動画を均等に割る際に多用されます。

テレビフレーム

基準のフレームよりも少し小さめに設定されたフレームです。
このフレームを想定して作画しないと、実際テレビ画面に写る部分は作画フレームよりせまくなるので、絵が切れてしまったりすることがあります。
各テレビの製品自体によって画面に映る範囲は異なりますので、フレームと言ってもあくまで目安です・・・。

基本的にTVは4:3のフレーム、劇場は16:9のフレームサイズ。
ジョー1も2も劇場版は始めから劇場フレームで作画されてないので、強引に上下を切って横長のフレームにしています。
ジョー2では特に頭が切れているカットが前半目立ちました。

動画

作画監督修正が終わった原画を、原画マンの指示の入ったタイムシートに沿い、中割り作業を加えながらクリンナップする作業です。
クリンナップされた画は原画カットでも”動画”という言い方になります。
クリンナップされた画で原画と動画の見分け方はタップ穴付近に書かれている通し番号が○で覆われているかどうかで判別出来ます。

ジョー2では動画のクリンナップを全て定規(直線曲線全て)でクリンナップする方がいました。(名前不明)

動画チェック(動画検査)

動画作業の済んだカットを、原画の指示通りまたはキャラ表通りに作画されているかを検査担当の人です。
仕上げ時ペイントできないものが無いかや、撮影不能なものが無いか等も同時に検査します。

動画用紙

作画用の紙。
上部に3つの穴が開いていて、そこにタップの突起をはめて、動かないように固定できます。
鉛筆の線がザラつかないように、比較的滑らかな紙質である。
原画&動画の時点では白い動画用紙を使いますが、作画監督は修正用紙として色つき(黄色等)の動画用紙を使います。

杉野氏は黄色い作画用紙を使います。

同トレス

すでに描いてある動画をトレス台で透かして、その上に動画用紙を置いてなぞって、同じ絵を描くことです。
軽い反動や振動等 の表現で効果的になります。

止め

カット中動かさずに止めて置くセル(動画)カットです。
動く絵に比べ密度を求められる場合が多いです。

ジョー2ではハーモニーショットとして多用されました。
ジョー1でも51話の力石アッパーのリメイクでハーモニー動画でまた違った演出もされています。

トレス

トレス台(机)の明かりを使って下の絵を透かして鉛筆で動画用紙に写し取る作業です。
動画用紙はずれないようにタップで固定して作業します。

ジョー1では5Bや6Bが使われ、あの太い線を描かれていた様です。

トレスマシン

カーボンやゼロックスを使用して動画のクリンナップした線画(輪郭部分)をセル画に写し取る機械です。

TVジョー1ではトレスマシンに変わった時期です。
巨人の星の初期の頃はまだハンドトレス(手で直接描く)だったので、線のかすれがありません。
ジョー1はこのトレスマシンの利点を最大限利用した、味のある作画となってます。
特にスタジオジャガード作画(荒木作画)の回はトレスマシンのかすれを意識した凄まじい大迫力な作画となってます!

長セル

横にPANしたりする時に使うスタンダードフレーム以上長い動画用紙。
またはその動画用紙を使って描いた原動画、セルのことを指します。

ジョー2では長セルを引きPANで3回見せる演出が光りました。

中割り

動画担当者が、原画マンによる提示の画と画の間に数枚の絵を入れる作業を指します。
中割り画は完全に動画マンの絵になります。

ジョーは線やタッチが凄く多いので中割泣かせだったと思います。

なめる

カメラアングルで、画面手前に大きくキャラクターや物を置く時、「○×をなめる」と言う使い方をします。

背景動画

通常背景で描かれるようなものを、動画で動かしてしまう手法を指します。
手描きで表現する場合、自然物はかなり表現(作画)が難しくなります。
「背動」と略して使うことが多い。

ジョー2で印象的なシーンは葉子&ロバートのバルコニーカット。

ハーモニーショット

止めカットの一種。
セル画と背景を完全に分散した通常の止めとは違い、キャラクターを背景と融合させるために処理したカット。
原画ラストカットの絵を背景レイアウトに融合させ、そのまま背景で仕上げたものにセルの線画レイヤー部分のみ乗せた処理が一般的。

出崎監督が最初に始めた手法!
ハーモニーカットの動画も数回披露してます!

ハンドトレス

トレスマシンを使用せず、職人が手でセル画に1枚1枚トレスしていく作業です。
ハンドトレスは線がハッキリ表示されますが、描いた人(トレスした人)の絵になりがちなので、原画マンには嫌われる傾向があります。


ジョーでは一切使用されてません。

現在でも”サザエさん”はこの手法をとっている唯一の作品です。

BG

BGの一部分を抜き出して描いたものを指します。
セルの上に重ねて立体感を出す目的などに使う手法。
手前の木や草などに多く用いられる手法。
セルに直接描いたりして重ねる場合もあります。
キャラクターが手前BGの後ろを動画する場合、BOOK処理する場合が多いです。

フレーム

作画の基準になる枠のことを言います。
この枠の中に作画したものが、画面に反映されます。

モブシーン

群集シーンを指します。
キャラクターが一度にたくさん画面上で動くシーンです。
予算や手間暇が非常にかかるため、TVシリーズではあまり多用されません。

ジョー2、1話はモブシーンが凄いです。

リップシンク

キャラクターの口の動きを、すでに録音してあるセリフと同調させること。
海外作品の場合は、セリフを先に録音するのがほとんどで、セリフのテープを聞きながら作画します。

レイアウト

原画マンが絵コンテを見て描き起こすカットごとの場面設定。
背景とキャラクターを一枚の絵で示したものです。
完全な作画に入る前に作画監督にチェックを受けます。
作画監督は主にキャラクターの等身を整えます。
この時点で修正を密にやればやるほど後の原画修正は楽になります。
カメラワークや演技内容も、この時点で設計される。
完成次第、背景原図となり、背景部門に回され作画と同時進行されます。

ロングショット

被写体を画面内で、小さく捕らえ舞台設定がよく見えるカットです。

仕上げ部門

色パラ

画面上下または斜めから中心にむけてかかる斜、グラデーション処理。

ジョー2ではかなり多用されていて、やはり出崎監督が始めた演出。

カーボン紙

トレスマシンで完成動画をセルに転写する時に使う黒い転写紙。
黒以外の色のカーボンもあります。
他にゼロックッスでセル画に転送すつ方法もあります。

ジョー1ではこのカーボンでの写しの線画が効果的になってます。

カラーチャート

彩色に使用する色を並べて、絵の具の色などの名前や番号をつけて分かり易く表示した一覧表。

撮影効果

撮影の手法による様々な効果。
ダブラシ、スーパー、透過光、波ガラス等があります。

ジョー2では撮影効果が凄く綺麗で透過光が印象的です。
葉子の墓参りシーン(助けて力石君~・・・)では透過光の露出調整オーバーだったのを逆に演出とし、効果を上げる事までした出崎監督は流石です。

ゼロックス

コピーの様な方法で、完成動画をセルに転写する手法。
トレスマシンと違い、トレス線が退化しにくいのが利点です。

ハンドトレスは一番風化しにくいですが、ジョーはハンドトレス作品外です。

全セル

全面ヌリの画面の事。
どアップ作画等で背景が入らないセル画動画です。

撮影・編集部門関連用語

オーバーラップ(O.L)

続きの前後のカット前の部分と後ろ部分を一部重ねて、それぞれをフェードイン、フェードアウトさせ、徐々に画面を切り替えて行くことを言います。

画面動

フレームを小刻みに動かしながら撮影する手法。
振動(爆発時や地震等)などの表現に使います。
別名はカメラシェイク。

カラセル(空セル)

撮影時に重ねるセルの数が途中で変わると、セルの厚みにより一瞬色が変化したように見えます。
そのために、1カットを通して1コマ毎のセルの重ね枚数は必ず同じにしなければならない・・・。
しかし、実際はコマ毎にセルの重ね枚数は異なっている。
そこでなにも描かれていないセルを使うことでカットを通してセルの重ねを均一に保ちます。
このとき使用する、何も描かれていないセルを空セル(からセル)と呼んでいます。

スーパー

本来は白い文字を画面に映し出す用途に使われています。
多重露出撮影の一種。
ダブラシとは異なり特定のものを露出オーバーさせて明るく光っているように表現したいときなどに使われます。
super imposenoの略です。

スライド(スライディングの略)

セルや背景を引っ張る撮影方法を言います。
空を飛ぶ飛行機などによく使われますが、カメラに対して平行に移動する場合のみ有効です。

ダブラシ(Wラシ)

多重露出撮影により、カット内の特定の事物の露出を意図的にアンダーにして撮影する技法。
特に色のついたものを透けさせる場合に使用する事が多いです。
double exposureの略。

付けPAN「つけぱん」

PANの一種。
フォローパンとは違い、セルを背景と一緒に引きます。
キャラクター等をカメラが追っていくという点では、フォローパンと同じで、やはり、目盛りに合わせて引きます。

T.U(トラック・アップの略)

被写体に対してカメラごと近付く撮影方法。
ズームアップとは異なり被写界深度は変化しません。

T.B(トラックバックの略)

T.Uと反対に被写体から遠離る撮影方法です。

透過光

光をフィルム上に合成する撮影方法。
撮影台の下から光をあてて、その上に置いたマスクを抜けてきた光のみを撮影してフィルムに合成します。

あの斜め上からの日差し等の透過光も出崎監督の演出です。

波ガラス

画面全体もしくは部分的に、波のように歪めたい時や、ゆらめかせたい時に使うガラス。
あるいはそう言う処理そのものを言います。

入射光

透過光の一種。
画面外から差し込んで来るように見える透過光。

出崎監督が最初に始めた手法です。

PAN(PANORAMAの略)

カメラを定位置に固定した状態で画を動かす撮影方法。
アニメーションの撮影台の場合はカメラを左右に振ることが出来ないので、固定したカメラに対し背景(対象物)を引く事で表現します。

PAN-UP

前述のPANが主に横方向の移動撮影に使用するのに対し、下から上へのカメラ移動になります。

PAN-DOWN

PAN-DOWNは上から下へのカメラ移動になります。

引きスピード

BGやBOOKセルをスライドさせる時の速度のこと。
通常1コマあたりどのくらいスライドさせるかを○○ミリ/K(コマ)と言う形で表記します。

F.I

カット頭で黒い画面が徐々に明るくなる手法をいいます。

F.O

カット尻で徐々に画面が暗くなって終わる手法をいいます。

フォーカス

カメラのピントを甘くして、画面(あるいは画面の一部)に柔らかい効果やぼやけた感じを出す手法です。

Follow

移動する被写体に対し常に同じ位置(距離)になるように、カメラそのものを移動させながら撮る撮影方法。
PANとの違いは、移動する被写体を追い掛けて(フォロー)して撮影することです。

FollowPAN

フォローのようにセルは引かずに、背景だけを引くパンの一種。
フォローのように均等に背景を引くのではなく、目盛りを付けてその目盛りに合わせて背景を引きます。
移動しているキャラクター等が、常にフレームの中にいるようカメラが追いかけているような時に使います。

マルチプレーン

セルや背景を異なる層に置いて一度に撮影し、画面に奥行きや遠近感を出す撮影法です。
マルチ処理とも言います。

ローリング

移動距離の短い往復運動のスライド。
歩く動きや電車、馬車のがたごとした振動などを表現するときなどに使用します。
基本的には移動幅の目盛りを作画時に原画担当者が指定して、それを使用して撮影してもらいます。

ワイプ

2つの異なる画面が上下左右などの方向に拭いさる様に切り替わる手法です。

制作部門関連用語

アフレコ

アフター・レコーディングの略。
絵が完成した後に、絵に合わせて音を録音すること。
絵が間に合わなくて原撮(原画撮影)で行うときもあります。

ジョーでは役者が多用されました。(特に劇場版)
おあい輝彦氏はアテレコという言い方をします。

音響効果(S.E/サウンドエフェクト)

キャラクターのセリフやBGM(音楽)以外の音。
足音や波の音などさまざまです。

原撮 (原画撮影)

アフレコ時までに、やむをえず作画が完成しない時、原画を撮影して間に合わす緊急手段です。

キャスティング

作品(キャラクター)のイメージに合った声の演技者を選ぶことをいいます。

ジョー2では葉子&紀子のキャスティングを一般公募で選出。

欠番

通常カットナンバーや動画ナンバーなどは連番になっていますが、作業の都合などにより途中の番号を抜いてしまう事をいいます。

リテーク

一度作業が仕上がったカットなどを、不具合があってやり直してもらう為に、担当者に戻すことを指します。

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